人には誰でも怖いものがあって、僕は長くてぬるっとしたものがどうにも怖い。
なかでも苦手なのがうなぎだ。生きていたらもちろん、たとえ死んでいて開いて形が変わっていても、炭火で炙ってタレを塗って芳ばしい匂いがしていても、 うなぎの生きてる時の姿が頭に思い浮かんで寒気がしてくる。想像するだけで寒気がするくらいだから、もし無理やりうなぎを口の中に入れられたらひょっとすると死んでしまうかもしれない。
しまった! うっかり自分の弱点を告白してしまった。もしこの投稿を僕のことが嫌いな人が読んでいて、器からはみ出すような「うな丼」を出前か何かで送りつけてきたらどうしよう。
どうかくれぐれも変な気を起こして、僕にうな丼を送りつけてきたりしないで。山椒や肝入りのお吸い物と一緒に出されたりしたら、それはもう怖くて怖くて、熱くて苦いお茶まで怖くなってしまうだろうから。
人口一人あたりのうなぎ消費量が日本一という三重県津市。本当かなと思うけれど、確かによその土地より車を走らせていて見かけるうなぎ屋の数も多い気がするし、子供の頃からうなぎを食べる機会も多かった気がする。
三重の名前の由来は「水辺」から、津はかつて「安濃津」とよばれる三大港を抱える藤堂藩の城下町、至るところに汽水の溜め池があった。郷土史によれば江戸時代、藩主が藩士の体力を向上させるためにうなぎ屋を城下に集めたことから広くうなぎを食べる習慣が生まれたようだ。
特に有名店でもない近所の人が集まるうなぎ屋さんのこれがうな丼の「上」。2千円ぐらいだった。2、3年前はもう少し安かった気がするが、時勢的に仕方ないのだろう。
ああ、うな丼怖い。死ぬかと思った。
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