羽田空港に深夜到着し都内に一泊した。翌日、パスポート・センターで旅券の切り替え申請を行い、書店で『ジェロニモたちの方舟』、『辺境のフォークロア』を購入。昼食は親子丼。
電車で半島を南下。河津桜が満開の終点で降りバスに乗り換える。一足先にかすかに車内に潮の香りを感じる。斜め前の座席に外国人の二人連れが座っている。一人は白人の男性でもう一人は黒人の女性だ。これまでの旅の生活ではごくありふれた光景だが、旅はすでに終了したはずではなかったのか。
前に立つ高校生に彼らが何かを訊ねているが、その高校生は英語が苦手らしい。立ち上がり彼らに声をかける。彼らが行きたい場所はこれから僕が帰る場所だった。このバスは港のひとつ手前のバス停までだから、僕が港まで案内すると伝えた。
バスを降り坂道を彼らと歩く。彼はジム、彼女はステラといった。彼らはボストンに暮らしていて、東京に観光に来ていた。おいしいマグロを食べたくてこの町まで足を伸ばしたらしい。
「あなたはこの町で何をしてるの?」そう彼女に質問され、僕は医師だと答えた。彼女は少し驚いた顔をし、「私もそう」と言った。
旅の終わりに、別の旅人に自分の暮らす町を案内する。その人物は自分と同じ職業についている。ひとつの旅は別の旅へと引き継がれる。「ステラ」とは「星」という意味だ。
No comments:
Post a Comment